2019年12月5日、レスターはアーセナルの引き抜きの噂があったブレンダン・ロジャースとの契約延長を発表。これによってロジャースは最大2025年までレスターに留まる事ととなり、同時にプレミアリーグの監督の中で3番目高い週給を得ることとなった。
だが残念ながらそれ以降はTOP4を争うチームとして相応しい結果がなかなかついてこない。この契約延長以降リーグ戦で挙げた勝利は20試合で6勝。2020年の成績でだけ言えば4勝5分6敗の勝ち点17の15位で、これは降格圏にいる18位アストン・ヴィラとは5ポイントしか変わらないことを意味する。
そして皮肉とも言っていいかもしれないのは前レスター監督のクロード・ピュエルとの成績比較。彼が指揮していた最後の時期はかなりのヘイトを集め、『Puel out』の大合唱。また試合前や試合後の会見で口を開けば何かしら叩かれるというまさにサンドバックの状態だった。
そんなピュエルがレスターを去るまでのリーグ戦19試合で稼いだポイント数は20。だが現在ロジャースの下で直近のリーグ戦19試合で稼いだポイント数は21と数字上はほとんど前政権と変わっていないという事実が存在している。
5位との差が最大14ポイントあった1月末から残り3試合となった段階でその差は無くなり、シーズン序盤に大きく稼いだ得失点差のお陰で辛うじて4位の座を維持しているが、失速が続いていたリーグ戦再開前でも8ポイント付けていた差をたったの6試合で逆転される寸前にいる事実がそこにはある。
時は11/12シーズン。ロジャースが指揮していたスウォンジーは前年シーズン2部3位で昇格プレーオフを勝ち抜き、プレミアリーグ昇格を果たした。そして降格候補の声を他所に、アーセナルやマンチェスター・シティ相手に勝利を収め、この年CL優勝をしたチェルシーやシーズンを5位で終えたニューカッスルから勝ち点をもぎ取るなど29節終了時点で8位に位置していた。
しかしその後は4連敗などによって順位も一時は15位まで下がり、最終的には11位でフィニッシュ。プレーオフ経由の昇格でこの順位で終えたことは十分賞賛に値するものだとは思うが、ラスト9試合で2勝2分5敗と失速してしまった。
この終盤での失速はその後リバプールでも同じことが起こる。14/15シーズンはシーズン序盤は大きく苦しむものの、17節から29節までの13試合を10勝3分と怒涛の追い上げを見せ、4位マンチェスター・ユナイテッドとの直接対決を前に2ポイント差まで迫っていた。
しかし、30節のユナイテッド戦で1-2で敗れるとそこから失速。30節からの最後の9試合はそれまでの好調が嘘のように2勝2分5敗で急ブレーキがかかってしまった。またFA杯準決勝ではアストン・ヴィラに2-1で敗れるなど大きな批判を浴びた。
そしてこの失速は翌シーズンまで尾を引いた。15/16シーズンは開幕2試合こそは連勝するも、その後の6試合で1勝も出来ず、8節のマージーサイドダービーで引き分けに終わった直後、ロジャースは解任されリバプールを去ることとなった。そして13/14シーズンに最後の3試合でジェラードがスリップしたり、アウェーのクリスタル・パレス戦で3-0から追いつかれ優勝を逃したということも同様に失速と言っていいだろう。
そして今のレスターでもロジャースが過去に率いていたチームと同じような事が現実として起きているのではないだろうか。35節までの直近リーグ戦の9試合は2勝3分4敗。数字上もスウォンジーとリバプールを率いてた時代とほとんど変わらない。つまりロジャースはまたしても同じ失敗を犯していることとなる。
ここまでレスターでもシーズン終盤に数字を落としているということには何ら変わりないが、リーグ戦はまだ3試合残っている。残りの対戦相手もかなりタフであることには変わりないが、奇跡的に4位にはいる。ロジャースはまだ幾らでも挽回可能な残り試合でスウォンジーとリバプールで経験した学びをここで価値のあるものとして示さなければならない。それが3連勝や4位フイニッシュという形で果たされるのであれば、素晴らしい達成と言ってもいい。
リーグ再開後ロジャースに対する批判は日に日に大きくなり、ボーンマス戦では前半45分でイヘアナチョを下げた采配が直接失点と関係したわけではないが、大きな批判の的となった。彼はもしかすると考えすぎているのかもしれない。
早朝に行われたバーンリー対ウルブズの試合ではウルブズが先制するも、96分にドハティーのハンドによってPK献上。元レスターのクリス・ウッドがゴール右上に決めて1-1でドロー決着。今シーズン何度目かもはや数えきれないが、追い上げチームによる取りこぼしによって、またしてもレスターは救われた。オルブライトンが「別の命綱に繋がれた。今までの成績では死んだも同然」と語っていたように、まだツキがある証拠なのかもしれない。
勝てば6位以上がほぼ確実となるブレーズ戦。ボーンマス戦でショッキングな大敗後の試合で求められる明確なリアクション。そしてこの試合で本当にヨーロッパで戦うに相応しいメンタリティーとパフォーマンスがあるのかが試される1戦。本当にそれらがチーム内に存在するなら、明確に違いを示さなければならない。
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