レスター・シティはどこで道を踏み外したのか?そして不調でも希望がある理由。


 10月から12月にかけてレスター・シティはリーグ戦8連勝を記録。これはプレミアリーグにおけるクラブレコードの記録であった。

 しかしそれ以降挙げた勝利は16試合でたったの4勝のみ。またプレミアリーグのチーム相手のカップ戦は4試合勝てていない。

 現在クラブは下からの猛烈な追い上げを受けてトップ4フィニッシュの危機に瀕している。ここでは彼らが失速いた潜在的な理由を探るとともに、何故CL圏内がまだ十分に可能性として残っているのかを見て行こうと思う。


シーズン序盤の成績は期待値以上の成績であった

 シーズン序盤、彼らは連勝記録を作り、非常に良いプレーを示してくれたし、そうでなかったとしても一定のパフォーマンスを示していた。そして何よりも彼らが思うがままにゴールが生まれていた。それはまるでシュートを打てばゴール入るかのように。

 ここでその例を1つあげよう。ジェイミー・ヴァーディは開幕16試合で16ゴールを記録したが、これは41本のシュートでこのゴール数を生み出しており決定率で言えば41%である。

 

 だが彼の昨シーズンまでプレミアでプレーした5シーズンにおける決定率は22%であり、ここ最近のパフォーマンスは平均値に戻ってきたともいえる。連勝記録が終わってからヴァーディはリーグ戦で12試合にプレーし22本のシュートを打って3ゴール。決定率は14%である。ヴァーディのシュート機会が減っているのは改善したいポイントではあるが、ゴール数が減っているのはヴァーディの衰えを示す事実でもある。

幸運が尽きるのが早かった

 これは上記で話したことと重なる部分でもあるが、シーズン前半を通して量産していたゴールというのは現在消え去ってしまった。

 

ホームのニューカッスル戦、アウェーのサウサンプトン戦では素晴らしい攻撃でレスターは先制点を奪っていた。勝利への道筋というのは先制点を奪えるかという事にすべてがかかっているともいえる。

 

先制点を取ることが出来れば自陣に引くことが可能となり、前方にはスペースがたくさんある為カウンターを打つには絶好のチャンスである。だが年明け以降このようなシーンをほとんど見ていない。

ロジャースは今週このような事を言っている。「我々はこの若いチームに自信を与えてくれるような試合序盤でのゴールを待っている。」これは彼自身も気づいていることであろう。


自信という面における逆風

  自分たちより1つ上と1つ下の順位にイギリスフットボール史に残るようなチャンピォンチームが居ることを想像してみよう。そうするとタイトル争いをするチームと当てはめられ、自分たちがかなり素晴らしいチームであったというのを考える事が許される。

  しかしこのような考えは12月半ばのシティとリバプールとの連戦で完全になくなってしまった。ここにはそれまで自分たちが作り上げてきた自信も含まれる。この2連戦はこの2チームとレスターの間にどれだけの差があるのかを示すものとなった。だが実際打ちのめされた自信というのは一体どれだけパフォーマンスに影響を与えるのだろうか?

 

選手は後方でバックパスをするように積極的なチャレンジをしなくなったかもしれないし、本能的にBOX内に飛び込むことをしなくなったかもしれないし、選手は余計の事を考えすぎて、攻撃にスピードが無くなったかもしれない。だがこれらは最近のレスターを見ると全て辻褄が合う話である。


疲労の蓄積

 ロジャースにとってゲームプランは完璧なもので、卓越したフィットネスレベルを要求される。ハイプレスで高い位置でボールを奪い、より明確なチャンスを生み出す。これらを効果的なものにする為には全員の努力が不可欠で、もし1人が十分なエネルギーを持っていない場合には、簡単にボールを運ばれてしまい、プレスは無意味なものになる。

 

この方法はたくさんのスプリントが必要で、一部の選手は多忙なスケジュールによって壁に当たったかもしれない。彼らは3か月の回復の期間が与えられ、ロックダウン期間中はクラブは選手がコンディションを維持することに熱心に取り組んだが、完全に元のスピードに戻すためには数週間に渡ってのフルトレーニングが必要であった。


快適すぎたTOP4の順位

 ロジャースはプレッシャーの下で選手をなるべく「罠にはめる」ことはしないようにしたいと考えているが、少しの不安はその手助けになることもある。

 ロジャースが言うように、選手がベストを尽くすためには「居心地の悪さ」も必要なのだ。長い間、トップ4の中はむしろ居心地の良い存在だった。3節からこのポジションに位置し、たとえ調子を落として、取りこぼしをしたとしても、後続チームもまた取りこぼしをして追い上げを受けるわけではなかった。

 しかし現在5位との差は3ポイントまで縮まったが、逆にこの状況が選手たちを奮い立たせることになるかもしれない。


相手に知られる機会が増えた

 ロジャースの下昨シーズン終盤は素晴らしいフィニッシュをし、今シーズンは素晴らしいスタートを見せた。これは相手に多くを知られていなかったからでもある。


 自分達が強豪チームになった時、相手は自分達を止める為の作戦を練ってくる。シーズン後半戦、多くのチームがレスターと対戦した時に引き分けでも嬉しいものだろうし、時には勝ち点3を奪う事もある。


 一方リバプールとマンチェスター・シティは非常に良いチームでどんなに時間をかけて彼らを止めようとしても止める事は出来ない。だがレスターはまだこの域には達していない。彼らのシステムはヴァーディが中心であると相手にバレているようにも見える


中心選手のケガによる離脱

  レスターは各ポジションにバックアッパーとして一定レベルの選手はいるが、今シーズンレスターはキープレーヤーがケガで離脱するとどれだけ影響を与えるのかというのを学ぶこととなっただろう。


 ヴァーディが数試合欠場した時にはケレチ・イヘアナチョが素晴らしい活躍を見せ、ここの部分では大きく苦しむことはなかったが、エルフレッド・エンデディが離脱した時にはハムザ・チョードリー、パピィ・メンディ、デニス・プラートがボランチのポジションを務めたが、エンデディが示していた輝きにはかなわなかった。

 そして今はリカルド・ペレイラがケガで離脱中である。誰もが彼がどれだけ素晴らしい選手かというのを理解している。だがそれは彼のクォリティーがチームにおいて必要不可欠であるというのを明確にさせるものである。


だがしかし

 ここまでレスターの苦境を取り上げ、読んでいる側からするとこのチームはCL権争いをしているのではなくてまるで残留争いをしているチームのように思えたかもしれないが、まだまだ前向きになれることはたくさんある。それを以下で説明する。


レスターは順位争いでまだ中心ポジションを保っている。

 スパーズとシェフィールド・ユナイテッドはCL圏内争いから後退し、現在は3位から6位までの4チームの争いに見える。もしマンチェスター・シティの2年間の欧州大会の出場禁止が確定すれば、この4チームから3つの枠が与えられることとなる。

 現在レスターは3位におりこれはメインポジションにいると言っていい。あれだけ失速してもまだ3ポイントの差があり、そしてあまり話題にならないが得失点差を考えると実質4ポイントの差があるとも言える。(レスター+29 チェルシー+13 ユナイテッド+20 ウルブズ+11)

  ロジャースが指摘したように今3位に居るのは自分たちのパフォーマンスが良かったからであり、何かの間違いで3位にいるわけではない。自信というのはそこから得られるはずである。

勝利の経験

 残りの6試合を見ると前半戦での戦いで敗れたのはマンチェスター・ユナイテッド戦のみであり、それ以外は全勝しており、彼らはこれらのチーム相手に勝つためには何が必要かを知っているはずである。環境はいつもとは異なる無観客試合でもしかすると毎試合アウェーゲームのように感じるかもしれない。しかしレスターは観客がいて今とは環境が異なるとはいえどもアウェーゲームで良い結果を残している。


シュマイケルとDF陣による堅守

 レスターは失点数ではリーグで2番目に良い数字を残していて、チームが不安定な間でも、守備はかなり強力なままである。実際、直近9試合のプレミアリーグの試合では、8ゴールしか許していない。 

 CBの2人は依然として安定しており、カスパー・シュマイケルは素晴らしいパフォーマンスに戻ってきている。堅固な守備陣により0点で抑える可能性は高まり、その中で勝利を掴むことは簡単なタスクのはずである。


本当のレスターの姿はまだそこにある

  FA杯準々決勝チェルシー戦において最初の20分でこのことは証明した。レスターの選手たちの才能はまだ見捨てたものではないということを。彼らは素早く、賢くかつ独創的なサッカーで、チェルシープレッシャーをかけ、ミスを誘発させた。

  まだベストの形ではなかったにせよ、この時間は彼らが持っていた良い形を忘れていないことを示すのに十分なものだった。ロジャースが語っていたように今後数週間で良いパフォーマンスを示すことが出来れば、今まで負けていた分を取り返せるくらい勝利を掴むことが出来るかもしれない。

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