レスターの移籍市場での動きは、開幕戦に向けたメンバー選考に大きな影響を与える。

  調整は全て終わり、いよいよ本番を迎える。レスター・シティは土曜日のプレシーズンマッチ、ブラックバーン戦で1-1の引き分けでプレシーズンの調整を終えた。ここでは日曜日のザ・ホーソンズでの開幕戦に向けて、5つのキーポイントを分析する 。


 ・どのチームも同じように準備不足?

 ブレンダン・ロジャースはプレシーズンの調整期間を“機能していないもの“と評した。開幕に向けて、チームの主力メンバーを欠く中で国内クラブとの試合をしたからである。これはどのクラブも同じで、理想的なプレシーズンを過ごせてはいないだろう。何故ならオフシーズンの期間が短く、Covid-19感染拡大により例年より制限が多く、そしてなによりこのタイミングで代表戦が存在するからだ。


 レスターも他クラブと同じく上記であげた影響を被っていると言うのは簡単だ。しかし彼らはその影響を最も気にしなければならない。それは開幕戦の相手がウェストブロム(以下WBA略)ということである。


 先週末にレスターとWBAはプレシーズンマッチを行ったが、どれだけ試合に出場できない選手が居たかという観点でみると大きな違いがある。レスターは代表戦と怪我人を含めて14人のメンバー欠場したのに対して、WBAが欠場したメンバーは8人だけだ。


 レスターは8人のプレーヤーを代表戦によって欠き、彼らは週の後半にならなければチームに戻ってこない。その一方でWBAが代表戦によって欠いたメンバーというのは4人だけである。WBAがレスターよりも、開幕戦に向けて順調な調整が出来るという事実は否定できない。


 ・移籍市場での動きが、エンデディのCB化を加速させる?

 ロジャースはチームに必要な補強が開幕前までには間に合わないというのを認めている。 市場自体は10月5日まで開いている為に、壊滅的な打撃を受けるわけではないが、DF陣はその場しのぎ感が否めない。


 ウィルフレッド・エンデディは土曜日にCBの位置でプレー。これは日曜日の開幕戦でも、同じ光景を見ることになるかもしれない。エバンスは2節まで出場停止で、モーガンは故障中。そしてベンコビッチは土曜日の試合で姿を見せなかった。その為、ロジャースがジョシュ・ナイトの起用を選択しない限り、エンデディはチャングラル・ソユンクと共にCBのコンビを組む必要がある。 


 エンデディはゲンクの若手時代にCBとしてプレーした経験はある。強いフィジカルもあり、守備のノウハウは十分に理解している。しかし、CBのエキスパートではないし、昨シーズンに彼がケガで不在の中盤というのはチームに大きな損失をもたらしている。


 ハリー・マグワイアの退団後、新しいCBが必要だと1年以上も前から分かっていたチームにとっては、少し残念なシナリオである。CBの補強はこれまでのところ失敗に終わっており、今シーズンは異例のバックラインでスタートを切る必要があるかもしれない。


 ・デュースバリーホールの存在はロジャースに決断を強いる

 プレシーズンの試合は体力作りによる調整や、監督にアピールするのには絶好の機会である。キーラン・デュースバリーホールはまさにこれをやってのけ、プレシーズンの中で一番動きが良かったと称するのは何らおかしくないだろう。

 

 彼は昨シーズンLeague One(3部)のブラックプールにローン移籍し、10試合の出場ながら4ゴールを記録。このレベルでのプレーはもはや必要ないというのを結果で示した。今後のオプションとしてはChampionship(2部)のクラブにローン移籍させるか、レスターに残留するかの2択である。


 パピィ―・メンディーの新契約締結というのは、ボランチで多くのプレーをしてきた若きプレーヤーにとっては逆風のように思える。しかし、日曜日に22歳の誕生日を迎えたホームグロウンMFはロジャースの頭を悩ませるようなパフォーマンスを示している。


 IHのポジションでプレーしたデュース・バリーホールは8番のポジションで成功するために必要なプレス、攻撃、視野の広さを見せた。マディソンとティーレマンスのバックアッパーは現状デニス・プラートのみ。デュース・バリーホールはこのポジションの層を厚くするのに最も安価でかつシンプルなオプションである。そしてプレシーズンでIHのポジションもプレー可能というのを明確に示している。


 ・心温まる瞬間

 プレシーズンマッチでのゴールで歓声が上がることは珍しい。しかし土曜日にダニエル・アマーテイがヘディングでゴールを決めた際には、歓声が上がる理由があった。

 

 2018年10月に足首の大ケガを負ってから1年11か月。ユーティリティーと称されるガーナ人はキングパワーの芝生に足を踏み入れた。アマ―ティにとって、2年間に渡るケガの回復とリハビリを経ての復帰というは大きな安心感をもたらしただろう。またファンにとっては、本当に心温まる瞬間だった。


 しかし長期離脱していたこともあり、アマ―ティの未来がクラブにあるのかは現状疑問である。彼はケガをする前までは右SBとして名を挙げたが、このポジションにはリカルド・ペレイラ、ジェームス・ジャスティン、ティモシー・カスターニュがいる。その為、彼が右SBのポジションをカバーする必要はない。また守備的MFとしてレスターにやってきたが、そのポジションはエンデディ、メンディ、ハムザ・チョードリーがカバーしている。


 そのため、残るのはCBのポジションだけである。ガーナ代表でCBとしてプレーしており、よく知っている役割だ。センターバックの現状とロジャースが時折3バックで実験しているのを鑑みると、役割があるかもしれない。


 ・ミスをするには完璧なタイミング

 ベン・チルウェルの空中戦での強さは過小評価されている部分でもあった。イングランド代表左SBは驚異的な跳躍力を兼ね備えていた為、空中戦で負けることは滅多になかった。


 しかし新進気鋭の左サイドバックのルーク・トーマスの場合、ボールの行方を見て適切なタイミングでジャンプをし、ボールをクリアするのはそう簡単ではないことを示した。彼は前半に何度かロングボールの落下点を間違えるということがあった。しかし彼がミスを犯す試合があるとすれば、それはプレシーズンの試合だ。


 トーマスは昨シーズンの終盤にトップチームでデビューし、リーグ戦最後の3試合に出場したが、いずれもプレッシャーが大きい試合であった。このような試合でミスをした場合の代償は大きい。


 トップレベルにおいて、経験が不十分な10代の選手が多くのエラーをするのは避けられないことだ。多くの人間が1ヶ月後には記憶から消し去るであろうプレシーズンの試合でミスをする方が、本番でミスをするよりも遙かに好ましい。


 当然ながらこれからは実戦でのミスが少なくなることを期待したい。だが仮に3、4回ミスがあったとしても、パスやクロスの能力を見れば彼は非常に価値のある選手というのを既に証明している。

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